2005/10/15

ISAPH 定期報告会議(ラオス)

ISAPH LAOS  齋藤 賢之

去る8 月10、11 日の2 日間、これまでのISAPH のラオスにおける活動を振り返り、今後の活動に資する目的で定期報告会が開かれました。この会議には、県保健局、セバンファイ郡保健局関係者を始め、保健省からはナオ氏(官房次長、ISAPH 省レベル調整員)、ラサミ氏(母子保健課課長、ISAPH 省レベル調整員)、さらに、現在ISAPH が活動を進めているカンペータイ地区7村を担当するヘルスセンター職員や地域のVHV(Village Health Volunteer)など幅広く参加者を募りました。また、会場はカムアン県保健局のPHC センターに加え、活動地区タムライ村のヘルスセンターにも出かけ、現場の雰囲気を直接感じながら話し合いができました。ラオスでは、中央省庁幹部レベルの職員が地域住民と直接触れ合うことは稀で、このような機会は有意義であったと感じています。

ISAPH 本部からは、小早川理事長と新たに理事に就任された渡部神戸大学教授にもご出席願い、全てのスケジュールに積極的にご参加いただきました。保健省職員や理事、理事長は、タムライ村ヘルスセンターでの話し合いの後、隣のコクトーン村に支援した井戸についてもご視察されました。また、この報告会に先立つ8月8日、ISAPH の理事、理事長におかれてはビエンチャンの保健省にて、ポンメック保健大臣へ表敬訪問をされております。

以下に、保健大臣への表敬訪問と報告会の議事録を記します。

ポンメック保健大臣表敬訪問

  1. 日時:平成18 年8 月8 日(火)16:30 ~ 17:00
  2. 場所:ビエンチャン市、保健省2 階大臣応接室
  3. 出席者(敬称略)
    • ラオス保健省:Ponmek DALALOY 大臣、Nao BOUTTA官房次長(保健省ISAPH 調整員)
    • カムアン県保健局:Khankeo 管理部部長(県ISAPH 調整員)
    • ISAPH:小早川隆敏理事長、渡部和男理事、齋藤賢之、Ekto

話し合いの概要

  •   日本とラオスとの保健協力について以下のやりとりがあった。
      ISAPH 側より、在ラオス日本大使が自ら議長となり保健分野の援助協調会議を3 ヶ月毎に実施していることにも象徴されるように、日本側としては、保健分野での日本とラオスの協力を重要視している、また、ISAPH としては細くても息の長い援助活動を継続していくことが重要であると述べた。右をうけて、双方は、国連ミレニアム目標(MDGs)の達成に向け、日ラ間の包括的な協力を推進してくことが重要であるとの認識で一致した。
  •   カムアン県を含めたラオスの地域特性について先方より次のとおり説明が行われた。
      ラオス全体としては徐々に開発が進められているものの、北部山岳地域と中南部、都市と地方、交通手段の利便性などによる地域格差は依然として大きい状況にある。カムアン県はラオス中部に位置し、東部にはベトナム国境付近の山岳地域があり、西部にはメコン川を介してタイ国に接している。カムアン県でも山岳地域と平野部、都市と村落の地域格差は大きい。
  •   ISAPH LAOS の活動についてISAPH 側より次のとおり指摘した。
      セバンファイ郡は予防接種の普及率が80%以上と高く、県内でも優等生の郡である。しかし、実情を細かく調査してみると普及を障害するいろいろな問題がある。現在、ISAPH LAOS は同郡の乳幼児死亡率が異常に高いことに注目している。その原因を追究し今後の活動を展開すべく検討しているが、ここでも統計資料の収集・保管・整理がなされておらず、現状把握ができないという問題が存在する。
  •   ラオスの保健人材育成
      先方より、ラオス政府は保健開発の優先事項として人材育成に努力しているが、カムアン県を含め公衆衛生を担う人材などのレベルは全体に低い状態が続いている、また、公衆衛生の普及には他のセクターによる社会基盤整備が重要であり、保健分野以外との連携も必須である旨説明があった。

ISAPH LAOS 定期報告会議事録

  1. 日時:平成18 年8 月10、11 日
  2. 場所:カムアン県保健局PHC センター、セバンファイ郡タムライヘルスセンター
  3. 出席者
    • ラオス保健省(ISAPH 調整員):Dr. Nao BOUTTA(官房次長)、Dr. Lassamiee(母子保健課課長)
    • カムアン県保健局:Dr. Torlakhan(県保健局長)、Dr. Khankeo(管理部部長・ISAPH 調整員)、Dr. Keota(母子保健課課長)、 Dr. Somvang(技術課課長代理)、Dr. Siesombat(PHC 課課長)、Dr. Somphone(県病院母子保健課課長)
    • セバンファイ郡保健局:Dr. Khamkhon(郡保健局長)、Dr. Siephen(郡保健局次長)、 Ms. Khaika(母子保健課)、Ms. Nongsie(EPI 担当)、Mr. Amphayvane(タムライヘルスセンター(H/C))
    • カンペータイ地区:Tiane( コクトーン村村長)、Village Health Voulunteer 6 名
    • ISAPH:小早川理事長、渡部理事、齋藤(賢)、芝田、Tadam、Ekto、Luang、Mone
    なお、タムライ・ヘルスセンターのAmphayvane 氏を含むカンペータイ地区からの出席者は、1 日目の午後より次の会議に参加した。

会議の概要

  1. 1日目(10 日)午前
    • 県保健局表敬訪問(8:00 ~ 8:30、県保健局応接室)
        小早川理事長、渡部理事、齋藤(賢)、芝田がカンケオ県保健局調整員と共に、県保健局長のTorlakhan 氏を表敬訪問した。当方よりは、8 日にビエンチャンで保健大臣と面談したこと、今後ともISAPH としては細くても息の長い活動を維持していく方針である旨述べた。トーラカン局長からは、地域住民レベルでの健康教育の普及やヘルスセンターの施設整備が直面する課題であり、これらに対する協力を求められた。また、人材交流の一環として、同局長自身及びカンケオ調整員が日本への短期研修を希望していることが伝えられた。
    • 活動経過の報告(9:00 ~ 10:00、カムアン県PHCセンター内会議室)
        ISAPH LAOS の県レベルでの調整員であるカンケオ氏が、洪水による健康被害対策、カンペータイ地区でのVillage Health Volunteer(VHV)研修とその後のフォローアップ、コクトーン村での井戸作りと衛生教育、シーブンフアン地区での特異に高い乳幼児死亡率に対する取り組み、東京女子医大・中央マラリアセンターとのマラリア共同研究など、これまでの活動の概略を報告した。
    • 協議事項(10:00 ~ 11:30、カムアン県PHC センター内会議室)
        カムコーン保健局長より、今後活動を展開するに際しての権限、特に予算と実施主体について、ISAPH から郡保健局へ委譲して欲しい旨の要請があった。これに対し、小早川理事長及び渡部理事より、権限を委譲するための前提条件である、①情報開示も含めた基礎となる情報の精度が低く、状況の把握や分析が困難であること、②県・郡保健局側との連絡・協調が不十分であることから、現時点で予算を含む権限の委譲をすることは、活動費用の丸投げとなり、聖マリア病院やISAPH 会員、届出官庁である内閣府への説明責任を果たせなくなり、容認できない。先ずは、上記①、②を中心に連携を深めることが重要である、と説明した。
  2. 1日目(10 日)午後
    • 活動報告他(13:30 ~ 16:00、セバンファイ郡タムライ・ヘルスセンター)
        これまでに郡保健局とともに実施してきた活動(VHV研修{セバンファイ郡保健局母子保健課Ms. Khaika}、VHV 研修後のフォローアップ{ タムライH/C Mr. Amphayvane}、コクトーン村での井戸作りと衛生教育{Mr. Tadam})に関し、背景、目的、活動、成果、考察等についての紹介があり、その後、参加者との意見交換がなされた。
        会場となったタムライ・ヘルスセンターの施設状況を視察し、「日本NGO 支援無償資金協力」も視野に入れ、ヘルスセンターに対する施設整備の可能性につき検討した。その後、ヘルスセンターに近接するコクトーン村へ行き、ISAPH 支援による井戸を見学した。
    • 協議事項
        VHV 研修などの活動は、参加したVHV にとっても有意義であると評価される一方、VHV が無給職員であることに鑑み、VHV の負担に対する見かえりとして何らかのインセンティブを検討する必要があるのではないかという意見が出された。
        タムライ・ヘルスセンターはカンペータイ地区の7 村をカバーしているが各村の立地条件はさまざまであり、通信・連絡が困難な村については基本的な保健統計などの情報が収集・保管・整理されていない状態にあることがわかった。
        参加したVHV からは、井戸やトイレを設置して欲しい、村内の連絡手段として自転車が欲しいなどの要望が多く聞かれた。
  3. 2日目(11 日)午前
    • 総括(8:30 ~ 11:00、カムアン県PHC センター内会議室)
        ナオ氏から、「カムアン県のうち、ナカイ郡においてはダム建設に関連する保健分野での支援が実施されているが、ISAPH の対象郡であるセバンファイ郡とボラパー郡はそのような支援の対象から外れており、今後の支援活動に期待している」、ラサミ氏から、「活動を効果的に進めていくためには、保健局側とISAPH と相互理解を深めることが不可欠である」、トーラカン氏から、「郡保健局と連携する個別の活動については、保健局側がISAPHへ素案を提出し、この段階で内容などを精査し、両者が充分納得した上で、活動を実施するようにしてはどうか」、小早川理事長から、「同域におけるマラリア対策は、社会環境の整備なども加わって劇的な効果を挙げているが、今後は媒介蚊や住民へのKAP(Knowledge, Attitude and Practice)調査なども検討している。今後は、県保健局長も積極的にISAPH の活動に関与し、両者の連携を進めて欲しい」、渡部理事からは、「必要な情報を的確に収集した上で、問題点を含め全体を分析し、右に立脚する形で、保健局とISAPH が緊密に協力する関係を構築することが重要である」などの意見が出された。