2019/7/30

ISAPHラオス事務所3年間にわたる地域母子保健プロジェクトの成果

ISAPH ラオス  佐藤 優

きめ細やかな保健指導で
出産の準備をサポート

健康について、楽しみながら学ぶ子どもたち

報告会を終えて記念撮影

2016年4月からスタートした3ヶ年計画の本プロジェクトは、2019年3月末で計画されたすべての活動を終えました。その節目にあたり、ラオス政府関係者を集めてプロジェクトの最終評価としての報告会を開催いたしましたので、いつもニュースレターを読んでくださっている皆様にも、私たちの成果についてご報告したいと思います。

5歳未満児の死亡は、2016年度には6件(出生37件)でしたが、2018年度は1件(出生51件)にまで減少しました。その背景には、住民が「健康を守るための保健医療サービスを知り、より利用するようになったこと」、「子どもの健康や成長にとって良い行動が何かを知ることができたこと」の2つが挙げられます。当初は妊婦の80%が、保健医療従事者がいない中で危険なお産をしていましたが、3年目には40%以下まで減少しました。ほとんど病院に行く習慣がなかった女性も、最終の年には70%以上が病院で妊婦健診を受けるようになりました。家族計画(避妊としてのピルや注射)も、最初は年に7回しか利用されていませんでしたが、最後には100回の利用が確認されました。どのような保健医療サービスであっても、「利用しなさい!」と強制したり、無理やり病院に連れて行ったりすることはできません。住民が理解・選択し、移動手段を準備し、自身(および家族)の意思決定によってサービスを受けます。私たちの活動によって住民の主体的な健康行動を後押しすることができたのは、本プロジェクトの大きな成果で、ラオス政府にも評価していただきました。

一方で、まだ改善というには十分に成果が得られなかった部分もあります。それは子どもたちの栄養状態(身体の発育)についてです。子どもの栄養状態については、「最初の1,000日」、すなわち、妊娠期の栄養~完全母乳栄養~適切な離乳の開始と完了が重要になりますが、食べ物の確保については環境的・経済的な影響も大きく関わってくるため、教育・啓発活動だけでは解決が難しい、というのが一般的に言われているところです。そのため私たちは2017年度以降、村のリボルビングファンド支援や昆虫養殖などを取り入れてきましたが、残念ながら、まだ成果と呼べるだけの数値の変化を示すことができませんでした。

とはいえ、改善の兆しは見えつつあります。例えば、およそ半分の母親が完全母乳栄養を実施するようになったり、2017年と2018年の調査では子どもが摂取している食品の種類に増加が見られたりしました。また、私たちが栄養改善活動を強化した2017年度以降に生まれた子どもたちは、それ以前の子どもたちよりも慢性的な低栄養状態を示す低身長の割合が少ない状況が続いています。一部の家庭からではありますが、少しずつ、これまでより健康的な行動に変化しつつあると感じられます。ですので、この活動を続けていけば、将来的には、5歳未満の子どもたち全体の栄養状態の改善につながると見込んでいます。

このような背景があり、この度の報告会では、本プロジェクトの期間を1年間延長することも発表しました。ラオス政府からは大いに歓迎され、「是非、最後の1年で子どもの栄養改善にかかる成果も出していただきたい」と期待の言葉を受け取りました。

本プロジェクトは3年間という短い期間でしたが、これらの変化を見ることができたのは、ラオス事務所を運営する日本人職員や活動に熱意をもって取り組むラオス人職員、そしてその熱意に応えてプロジェクトを一緒に動かしてきたラオス保健行政の職員たちが同じ目標に向かって走り続けてきた結果だと感じています。そして、規模を縮小したり、止めたりすることなく本プロジェクトを継続できたのは、ISAPHを支えてくださる会員の皆様、助成金等を給付いただいた法人の皆様、寄付などを通じて私たちを支援してくださった一人ひとりの力があったからだと、支えていただいたすべての方々に感謝しております。世界のどこに生まれても健康が保証され、幸せな人生が営める、そんな未来になるようにISAPHはこれからも活動を続けていきたいと思います。