東京医科歯科大学・愛媛県立医療技術大学スタディツアー

平成25年8月25日~28日に、東京医科歯科大学と愛媛県立医療技術大学のスタディツアーの受け入れを致しました。参加者の方からいただいた報告を以下に掲載します。

ISAPH 事務局

ラオスの医療を学んで

ラオスへの訪問は今回が初めてだったので、ラオスの医療の現状を学びたくISAPHのスタディツアーに参加させていただきました。

ラオスでは果たして臨床検査技師がどの程度必要とされているのか、またどのような援助を必要としているのか、疑問に思っていました。実際に病院へ足を運んでみたところ、薄暗く開放的な病室のベッドに患者が寝ているのを見て、日本の病院との差に驚きました。結核病棟では特に結核患者を隔離するような設備もなく、HIVセンターが隣接していたので施設が不十分である現状を目の当たりにしました。

検査部には寄贈された機器が多く、必要最低限の医療機器は揃っているように見えました。しかし中にはほとんど使われていない機器や故障のため使用できないもの、使い方に問題があり劣化が早い機器などが多くありました。現状として、機器のメンテナンスをする技術スタッフがほとんどいないため、検査技師が自ら修理をしなければならない状況でした。医療機器の寄贈はラオスの医療の発展には不可欠ですが、現在最も必要なのは機器のメンテナンスの技術指導をしていくことだと思いました。

今回の訪問により、医療システムが未確立であるラオスに日本の医療の常識は通用しないと強く感じました。数少ない検査の中からいかに多くの情報を得られるかが重要で、そのためには知識と技術が必要となります。今後もラオスに技術指導の支援をしていく必要性を強く感じました。このような貴重な体験をさせていただいたことを、皆様に深く感謝いたします。

東京医科歯科大学大学院 修士1年 関本佳織

健康教育に参加した子どもたちと

スタディツアーに参加して

以前から国際協力に少し興味があり、今回のスタディツアーに参加させていただきました。その中で最も印象に残っているのは、2つの村で行われていた健康教育の様子を見学させていただいたことです。絵を使いながら質疑応答の形で説明が行われていたり、子どもたちが実際に体を動かして衛生教育を受けていたり、住民が内容を理解しやすいような工夫がなされていました。多くの住民が集まって真剣に話を聞いている姿や子どもたちが楽しそうに学んでいる姿を見て、ただ単に正しい知識を教えるだけではなく、住民の視点に立って教育を行うことが大切なのだと感じました。さらに食物タブーなどの迷信が住民の行動変容を阻んでいることを伺い、大人に対してはもちろんですが、子どもに対する健康教育の重要性も実感しました。子どもたちが、今受けている健康教育の内容を親として自分の子に伝え、それが繰り返されることで、そこに住む人々に根付くことが理想だと思います。村での活動見学を通して、住民との信頼関係の大切さと長期間の継続的な支援の必要性、支援活動の難しさを感じることができました。

今回のスタディツアーに参加して、医療分野における国際協力の様子を自分の目で見ることができ、ISAPHの方々が行っているような活動に、将来少しでも関わることができればという気持ちが強くなりました。このような貴重な経験ができたことを嬉しく思います。本当にありがとうございました。

東京医科歯科大学2年 村上紀里香

子どもたちが手洗いを実践している様子

継続的な支援の大切さ

今回のスタディツアーでは、県病院と郡病院の見学をさせていただきました。最も印象的だったのは物資が不足しているということです。私は日本で臨床検査技師になるための勉強をしていますが、日本では診察よりも前に行われる血液検査や尿検査ですら十分に行える機械がなく、放射線技師がおらず結核の診察のためのX線検査もすることができない状態でした。このように自分の常識が覆ることの連続でしたが、そこで奮闘する現地の医療従事者の姿を見て、将来何かしらの形で援助に携わることができればと考えるようになりました。

また、村での地域保健活動にも参加させていただきました。わたしはスタディツアーに参加する前に首都ビエンチャンにも滞在しましたが、セバンファイ郡の住環境や衛生環境はビエンチャンと比べてまるで別の国のようでした。様々な国や団体の援助で井戸やトイレが設置されてはいますが、機能していないものが多くあるということが非常に印象的であり、継続的な支援がいかに大切かということがよくわかりました。また、食物タブーや迷信が母親の授乳を妨げていたり、せっかく薬をもらっても飲み忘れてしまったりと、日本にいては考えられないような問題点が多くあることを知り、現地の人に寄り添った援助の難しさを実感させられました。村社会の中に入り、そこで信頼関係を築き、さらに教育を行うことは決して簡単なことではないと思います。このような環境の中で、ISAPHの活動はスタッフの方々の地道な努力によって継続的に行われており、私が想像していた以上に現地の方々に受け入れられていました。このような場に参加する機会を与えてくださり本当にありがとうございました。

東京医科歯科大学4年 笠井彩子

セバンファイ郡病院にて

ISAPHラオススタディツアーに参加して

将来臨床検査技師として国際協力に携わりたいという思いから、今回のスタディツアーに参加させていただきました。人々や街、病院、大学など訪れる場所ごとに驚きと発見がありました。

いくつかの病院を見学し、実際の医療事情を見ることができました。ビエンチャンと地方の病院では格段の違いがあり、さらに十分な検査機器がない、使えないといった問題点も数多く存在しました。日本から寄贈された機器などもありましたが、モノ、お金だけでなく、人材派遣などの技術支援も必要であると感じました。

普通では立ち入ることのできない村での活動視察は、貧しく厳しい環境下でも私たちに見せてくれた村人の明るい笑顔が印象的でした。識字率が低いためイラストを多く使ったポスターを用いて指導をしたり、参加した子どもたちにプレゼントがあったりと随所に工夫やコミュニケーションがみられました。こういった工夫が村人の健康の向上や笑顔につながっているのだと思いました。

国際協力に携わりたいといいながらも何一つ行動をとっていなかった私にとって、今回のスタディツアーはターニングポイントとなりました。実際の活動の様子をみて、多くのお話を聞き、より一層関心が高まり、自分に不足しているものもわかりました。この貴重な経験を忘れず、今後勉学に励みたいと思います。最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくれた関係者の皆様に感謝申し上げます。

愛媛県立医療技術大学保健科学部臨床検査学科3年 日吉郁弥

カシ地区での活動の様子