2005/10/15

ラオスの村の保健ボランティア「オーソーボー」の研修を終えて

ISAPH LAOS  芝田 澄子

ラオスの村落レベルでは、病気に罹っても医療施設が少ない、交通事情が悪い、病院に行っても十分な医療が受けられない、医療保険の制度がないため薬代が高いなどの理由から、村住民は保健医療サービスを受ける機会が少ないのが現状です。そこで、住民一人一人が病気に罹らないように、予防保健教育などの活動が大切です。ラオスの村落には、このような活動の担い手になる「オーソーボー」と呼ばれる保健担当のボランティアがいます。

グループワークを行っているところ(右奥 芝田さん)これまでISAPH LAOS では、セバンファイ郡カンペータイ地区の活動モデル村を中心に7 村8 ヵ所で、村の健康を支える「オーソーボー」の育成を行ってきました。その背景には、過去10 年間研修は行われておらず、以前研修を受けた「オーソーボー」のほとんどが交代しており、「オーソーボー」がいない村もありました。また、活動モデル村での調査では、「オーソーボー」が誰なのか知らない人も多く、予防接種や保健指導などのサービスが十分でないことがわかりました。そこで、今年3 月より郡保健局と協同して、村の保健ボランティア「オーソーボー」の研修を始めることになりました。「オーソーボー」の活動には、①村の健康管理、②保健に関するデータの報告、予防接種の広報と補助、③健康教育(蚊帳の使用、下痢の予防、環境衛生など)、④村の健康に関する問題の解決(簡単な診察をして薬を処方し、重症なケースは医療施設へ紹介する)、⑤置き薬の管理、⑥月間業務報告、⑦伝統薬管理があります。このように盛りだくさんの役割の中から、無給のボランティアができることは何か話し合い、ISAPH の研修では、1 回目に子どもの成長モニタリング(定期的な体重測定と栄養指導)と環境衛生教育、2 回目には予防接種普及のための健康教育、3 回目に子どもに多い病気と村の置き薬の管理について行うことになり、9月に全3 回のコースが終了しました。その間、毎月各村を巡回しながら「オーソーボー」の活動である、体重測定と衛生や栄養についての保健指導のフォローを行ってきました。その中から以下のような問題が見えてきました。すなわち、体重測定はできるようになったが低栄養児に対してのフォローができていない、体重の記録用紙への記入方法が複雑で時間と労力を費やしている、測定に来る子どもの数が減っている、職員が巡回フォローに行かなかったら実施していない、などです。このような問題に対し改善策を考え次回の研修に盛り込むようにしました。

今回の研修では、各村の村長にも参加してもらい、「オーソーボー」自身が考える今の活動上の問題点について検討する時間を持ちました。出された問題は、どの村もほとんど同じで、母親が栄養や環境衛生について理解していない、家畜と人のすみわけができていない、トイレや安全な水がなく下痢症が多いというものでした。しかし、どうして母親が理解していないのか、トイレがなかったらどうして下痢になるのか、などの問題を分析することができず、解決策にまで結びつけることができませんでした。しかし、実際に活動している「オーソーボー」と話し合ったこと、また村長が加わったこと、他の村と問題を共有できたことはよかったと思いました。

また、これまでISAPH が計画段階から実施、報告を行ってきましたが、研修の準備から実施までの流れを理解したので3 回目の研修から郡保健局が主導で開催したいと言われました。そこで、今回は権限を委譲する形で、ISAPH は計画の確認や実施段階では補佐役にまわることで開催されました。今までは、研修テキストの作成にかなりの時間を費やしていましたが、郡保健局職員が責任を持って準備し、研修全体の内容やスケジュール管理、経費の支払いなど、ISAPH としては内容の確認やフォローをするのみで、スムーズに開催することができました。また、2 回目までは郡保健局の職員が主に講師を務めていましたが、今回の3 回目の研修では、ビエンチャンで健康教育についての研修を受けてきたISAPH 職員である若いナースのモーンとルアンが、栄養指導についての講義を担当しました。そのほか、研修の途中にゲームを企画するなど雰囲気 を盛り上げ、参加者同士の交流を深めることができました。

左から2人目が18歳のオーソーボー参加者の中に、今回「オーソーボー」になったばかりの18 歳の女の子がいました。彼女は、文字の読み書きができなかったのですが、村長より「オーソーボー」に任命され、研修2 日目より参加しました。研修のテキストや講師が黒板に書く文字は読めず、まわりの参加者が手伝いながら4 日間の研修を受けました。最後に、講習内容に関する小テストを行ったのですが、他の人が読み聞かせ彼女が答え、なんと10 点満点でした。
  また、研修3 回目ともなると参加者同士も顔見知りで、和やかな雰囲気で、研修中も積極的に質問や意見が出されました。会場の準備や片付けも参加者が自発的に手伝ってくれました。研修の間、村で寝泊りしている私たちを自分の畑に誘ってくれたボランティアもいました。今までは、このようなことはありませんでした。参加者と主催者がひとつの家族のような親密な関係が築けることができ、とても最終回にするにはもったいないという感じでした。今後は、これまで毎月行ってきたフォローアップを改善させながら継続していき、研修のリフレッシュコースも企画していきます。互いの村の活動を見学するツアーなども面白いかも知れません。これからも、型にはまったものではなく、参加者や保健局職員と作り出す活動を展開して行きたいと思います。

最後になりましたが、これまでISAPH LAOS のプロジェクト立ち上げから現地事務所開設に関わり、「オーソーボー」の研修を担当してきましが、この度私事にて退任することになりました。後任の篠原さんに良いかたちでバトンタッチできればと考えています。今後とも、ISAPH をよろしくお願いします。