2006/04/15

マラウイ国ムジンゲ村でのコミュニティプロジェクトの現状報告

聖マリア病院国際協力部  齋藤 智子

聖マリアグループ有志の援助を受けたマラウイ国ムジンゲ村でのプロジェクトの現状把握と今後の支援の可能性を探る目的にて、ISAPH のご協力により平成17年11月下旬に派遣されましたので、その報告をいたします。

マラウイのムジンゲに完成したヘルスセンター現地滞在は約1週間でしたが、現地関係者の協力で有効に活動できました。まず、ムジンゲ村を訪問し、何がおきているのか確認しました。驚いたことに医療施設として最小の単位で、5 歳未満の子どもの予防接種や体重測定(Under 5 clinic)が行えるヘルスポストが建っていました。ただし、内部のドア、ガラス、待合室のベンチ、薬品倉庫の棚などは資金が不足していて、未完成でした。このヘルスポストでは、1年以上前から近隣のヘルスセンター(Edingeni Health Centre)から移動診療(Mobile Clinic)が月1回来て、Health Surveillance Assistant(HSA) が 村在中のHSA、ボランティアと協力して、5歳以下の子どもの予防接種や体重測定を行っていました。それらの活動を提供する人口は6村の3,000人です。一回の移動診療に約150人の子どもが来るとのことです。

その後、さらなる活動の展開のために、県病院から協力を得る努力をしました。現地で、ヘルスポストの開所式に県病院関係者(副婦長)を招き、公的な機関からヘルスポストの承認を得ました。このことは、政府の保健サービスを提供する施設として認められたことを意味します。うれしいことに県病院から直接、協力の申し出があり、村のヘルスポスト建設委員会はヘルスポストの必要物品のリクエストレターを提出しました。現在、県病院からの支援内容についての回答を待っている状態です。

ヘルスセンターのオープニングセレモニー今回のヘルスポスト建設が村人に及ぼしたプラスの効果としていくつか挙げることができます。まず、ヘルスポストの建設を村人全員で取り組んだ結果、自分達のプロジェクトという意識が芽生えたことです。村人は寄付をしてくれた聖マリアグループ有志の方々に「雨がしのげる建物で子どもの体重測定などができるようになった」ととても感謝していました。次に村在中のHSAがリーダーシップにおいて格段の成長をしていたことです。村のボランティアに体重測定の訓練をしていたり、今回の開所式では村人への案内や司会等で皆をよく取りまとめてくれました。その他、波及効果なのか、HSA のスタッフハウス(職員住宅)がスコットランドへ留学した村人の個人的な繋がりでスコットランドから支援を受け、建設が開始されていました。

村人が、今感じている問題は、村に在中していたTraditional Birth Attendant(TBA= 伝統助産婦)が高齢で亡くなったため、妊婦健診および分娩が村でできないことでした。妊婦健診および分娩は10km 以上離れた近隣のヘルスセンター(Edingeni かManyamura Health Centre)へ行っているとのことです。村での妊婦健診の可能性に関して、県病院の副婦長と話をした結果、ハード面(建物)がすでに出来ているので、妊婦検診用のベッドがあれば実施はそれほど難しくないとのことでした。ただ、近隣のヘルスセンターからの看護師か助産師の巡回が必要と思われます。

今回の派遣当時、マラウイでは例年にない食糧危機のニュースが伝えられていました。関係者に聞いたところ、2002年の飢饉の時よりはお金を出せばメイズが買えるのでまだいいとのことでした。しかし、村では昨年のメイズの収穫が、雨が余り降らなかったことと肥料が買えなかったために少なく(改良種を使用しているため、肥料がないと収穫量が少ない)、例年より早くメイズがなくなり、訪問した村ではまだ青いバナナを食べていました。今回、村でのメイズの配布も考えましたが、大混乱を招く危険が想定され、現地の関係者と相談し、今回はヘルスポストの公式な開所式を催し、そのときに食事を村人に提供することにしました。

村のヘルスポスト委員会およびHSAと今後の計画を話し合った結果、次の2点が出ました。

  1. もうすぐ始る雨期に向け、ヘルスポストのトイレの建設を最優先課題として取り組むこと。これに対しては、前回寄付した残高プラス5,000クワチャ必要とのことから、5,000クワチャを委員会に手渡しました。
  2. 県病院からの支援内容を踏まえて、ヘルスポストの内部の物品をISAPHで補充すること。内訳はドア、ガラス、待合室のベンチ、薬品倉庫の棚、外のドアのロック、壁の塗装、妊婦健診用のベッドなどです。

村人自身でヘルスポストを拠点とした活動が展開されつつある状況の中、将来の活動の可能性についていろいろ考えられます。現地関係者と話合った結果、例えば、1)WHO が勧めている ” Community Drug Management”、昔のDrug Revolving Fundのようなものを実施する。すでにHSAはこの訓練を受けています。2) 村でのHIV/AIDS 活動として簡易テストとPrecounselingとPost-counselingを実施する(VCT)。県病院ではすでにVCT を実施している。身近な家族がHIV/AIDSで亡くなっている現状のマラウイでは村においても今やHIV/AIDSはタブーではないとのことです。

最後に今回、ムジンゲ村を再び訪問する機会を与えてくださったISAPHに感謝いたします。村人とヘルスポストの開所式を催し、一緒に祝えたのは大きな喜びでした。村人のオーナーシップが育ち、いろいろな可能性が考えられます。私の希望としてはせっかく育った村人のやる気を信じ、大きな介入はせずに彼らが欲する足りないところを補うという支援がいいのではないかと思います。