ラオスでの活動概況

長期駐在者がラオスに派遣されて、早くも9ヶ月が過ぎました。派遣当初は活動の基盤となる事務所や機材の準備、また、本格的な活動に着手するための情報収集などに悪戦苦闘していましたが、徐々に具体的な活動が明らかになってきました。
現在、ISAPH LAOS はセバンファイ郡の村落レベルで、VHV(Village Health Volunteer)が母子保健の担い手となるべくGrowth Monitoring などの研修やそのフォローアップを開始しています。また、住民参加による井戸作りや同郡内の特定村で問題となっている極端に高い乳児死亡率の改善にも取り組んでいます。さらに、ボラパー郡では、東京女子医科大学、ラオス中央マラリア・寄生虫センターとマラリアに関する共同研究を進めています。これらの活動が、最終的には住民自身の手によって、地域の健康が守られるというPrimary Health Care の実践に還元されることを目指しています。
このようなNPOとしての本来的な活動へさまざまな形で参加者を募り、活動の実効性を高めつつ、保健医療分野の国際協力を担う人材育成の場とすることもISAPHの重要な役割です。これには、医師や看護師など専門職による活動参加、スタディーツアーの企画、大学・研究機関との連携などが考えられます。
去る3月にはISAPHの設立母体である聖マリア病院から副院長2名、国際協力部部長、臨床研修医2名がラオスを訪問し、臨床研修医制度「国際保健コース」のフィールド研修や視察が行われました。聖マリア病院を代表する立場にある方が実地に視察して頂いたことは、NPO法人ISAPHへの理解を深めて頂く上でも大変貴重な機会であったと思います。研修医のお二人もラオスでのフィールド研修が今後の課程に生かされればうれしいです。ただし、今後このような活動を展開する上では、裨益対象である村落住民の生活が損なわれないように本来的な活動とのバランスを考慮したり、県・郡保健局などとの理解に齟齬が生じないようにしたりすることも必要と感じました。
末筆になりましたが、小早川ISAPH 理事長が、読売新聞社主催の『第34 回医療功労賞』を受賞されました。心からお喜び申し上げます。これに関連して、昨年の12月17日から約1週間の日程で、主催の読売新聞社、後援のエーザイ(株)のご担当者と共に小早川理事長が訪ラオし、保健大臣のポンメック氏、JICAラオス事務所、カムアン県保健局を表敬訪問し、ISAPH LAOSの事務所や活動地域を視察されました。小早川理事長の国際保健医療協力における功績は枚挙に暇がありませんが、同賞はこれからの活動に期待される面もあるとも伺いました。
ISAPH LAOS では、前述したように本格的な活動が動き出しました。必要となる人材や機材さらに対象地域の正確な現状把握など、現地活動の基盤をより固めていく時期であるといえます。今後のISAPHへの采配や指導を含め、小早川理事長の更なるご健勝を念願いたします。

ISAPH LAOS 齋藤 賢之