中央マラリアセンターにおけるマラリア調査に対する支援

JICA研修生として中央マラリアセンター職員ボアラム氏が東京女子医科大学に留学しています。この留学研究に関連して、同大国際環境・熱帯医学教室からもボアラム氏を支援する形で、カムアン県でのマラリア調査を実施することになりました。また、同大学の小早川主任教授がISAPH の理事長でもあることなどから、カムアン県のマラリア調査もISAPHの活動と位置づけ、今回の調査に同行し支援することになりました。
調査の概要は以下のとおりです。

期間平成17年8月7日~8月23日
対象地域カムアン県内のセバンファイ郡、ニューマラート郡、ボラパー郡
参加者ラオス側:中央マラリアセンターよりサムラーン氏(センター長)以下11名。
このうちフィールド調査への参加者は中央からボアラム氏を含めて4名、県保健局から2名、各郡保健局からそれぞれ1名
日本側:小早川主任教授以下10名。このうちフィールド調査への参加者は江藤助教授、塚原博士、桜井医師、寺山女史など
調査内容薬剤浸透蚊帳の有効性評価
簡易診断キットや質問紙などを使ったマラリア疫学調査、マラリア原虫の薬剤耐性に関する遺伝子分析、ハマダラ蚊幼虫の分析など。

今回の調査では、3郡あわせて約1,000人の村落住民にマラリア検診を実施しましたが、陽性患者は発見されませんでした。この結果が、薬剤浸透蚊帳の普及など保健政策の成果なのか、道路の整備など社会インフラの改善によるものかは断定できませんが、いずれにしても、調査地域においてはマラリアが激減しているようであり、喜ばしいことです。ただ、マラリア原虫(陽性患者の血液)が得られなかったのは、遺伝子研究を進める上では困った事態でもあり、ボアラム氏は頭を抱えていました。この調査は、今後2回程度実施される予定であり、さらに詳細な検討が待たれます。

ISAPH は日本からの調査団のカムアンでの宿泊や移動を手配し、ラオス人スタッフとの業務を調整し、村落ではマラリア集団検診をサポートしました。今回の活動を通じて、ラオスでは「ラオス語ができること」という当然といえば当然なことが大切だと改めて実感しました。

ISAPH LAOS 齋藤 賢之