2005/04/01

平成16 年度のラオス国における活動

ISAPH LAOS  齋藤 賢之

インドシナ半島とラオス平成16年7月、ISAPHは日本の内閣府によりNPO法人としての設立・登記が認証されました。目下、平成17年度以降の本格的な事業活動を開始するために体制が整備されつつあります。ラオスでの活動についても、本年度から本格的な活動が展開できるよう、いろいろな準備作業が進められています。その中から、2度にわたるラオス出張を中心に活動を振り返ります。

第一次事前調査

第1回目のラオス出張は、関係する各機関への表敬訪問などを通じて、現地でのNGO 活動許可とその認証過程の実際に関する情報を収集し、認証を受ける前の暫定的な活動(導入活動)や長期的な活動の内容と地域について、大まかな方向性を確認することが主な目的でした。

出張期間
平成16年11月4日~11月18日
出張者
小早川理事長(11 月8 日~ 15 日)、齋藤、芝田

表敬訪問では、相手国政府関係機関(外務省・保健省)などを訪問して、良好な友好・協力関係を構築しつつ、活動許可に関する情報などを収集しました。ラオス政府の認証を受ける以前の活動を導入活動と位置付け、人材交流と健康教育に設定し、平成16 年度中に実施することが決まりました。長期的な活動については、カムアン県を主な活動地域として、人材交流・IEC(Information Education and Communication:視聴覚教材を活用した参加型の健康教育)普及活動および郡病院に基盤を置いた母子保健活動をMOU(Memorandum of Understanding:覚書)として想定し、NGO 活動認証を申請することとしました。

第二次事前調査

第2回目のラオス出張では、カムアン県保健局と基本的な活動案をMOUとして作成し、認証に必要なそのほかの申請書類と併せて当該官庁への提出すること、導入活動である人材交流と健康教育の実施などが主な目的でした。また、緊急援助活動の一環として、タイ南部津波災害への支援や状況視察についても、現地での情報収集などを踏まえ、可能な範囲で実施することが急遽決まりました。

出張期間
平成17年1月21日~3月7日
出張者
小早川理事長(2月3日~11日)、齋藤、芝田(1月21日~3月4日)

ラオスにおけるNGO 認証申請については、MOUを含む申請に必要な書類一式を提出することができました。MOUについては、カムアン県保健局とのワークショップや現地踏査を通じ合意形成をした上で作成しました。ワークショップや現地踏査の実施に際して、保健局側のドナー依存体質などの問題が、駐在予定者である齋藤、芝田にとって大きな負担となりました。しかし、最終的には県保健局長と管理部・PHC・県病院・看護学校・母子保健・健康教育・マラリアなどの各部門から選ばれたメンバーによるISAPHプロジェクト実施委員会(委員長は管理部長カンケオ氏)を設置し、想定していた活動案について基本的に合意することができました。また、保健省内においても、治療局課長ピーシット氏(聖マリア病院での平成16年度病院管理コース研修生)や母子保健局課長ラサミ氏が中央保健省レベルでのISAPHプロジェクト調整担当者として指名されました。これによって、郡や村落といった地域に根ざした保健活動を展開する上で欠かせない保健省や県保健局からの協力体制が準備できました。

ラオスにおけるNGO認証の動向

現在、ラオスでは約50件にものぼる海外援助団体からのNGO活動許可が申請されているそうです。また、書類上不備のない申請であっても、放置していては決して認証されないという情報もありました。この点について、ISAPH理事長である小早川隆敏東京女子医科大学教授に、関係するラオス政府高官や要職にある人物へ本法人の活動理念や趣旨を説明いただくなど、自ら率先してご尽力いただきました。これにより、現在、円滑な認証が加速されているところです。現時点での判断は不確実な要素もありますが、早ければ平成17年4月中にMOU署名ならびにNGO活動の許可が認証される模様です。これは、邦人駐在者を有する日本のNGOとしては7番目、保健医療分野では3番目の認証となります。

人材交流活動

当初、人材交流は導入活動としての位置付けでしたが、長期的な活動としてMOUに盛込み、継続することになりました。この人材交流事業の第1回目として、保健省官房次長であるナオ・ブッター氏が平成17年3月7日から12日まで訪日しました。同氏は、52歳の男性で、1997年から同省官房次長、ラオス最南部のアタプー県出身、フランス・カーン県の医学学校へ留学(専門は麻酔科)、帰国してラオス国立大学医学部卒業、その後ビエンチャン県の郡病院・郡保健局長を経て、当時の東ベルリン公衆衛生大学院を修了し、帰国後の1991年から保健省へ入省した、というご経歴の人物です。

約1週間の日本滞在期間中、東京では聖マリア病院東京事務所(兼ISAPH事務所)、在日ラオス大使館、JICA本部などを訪問しました。福岡では、ISAPHの設立母体である久留米の聖マリア病院を訪問し、井手理事長、藤堂病院長、浦部国際協力部長、田中企画部長、山田看護部長などと懇談しました。また、懇談の後、浦部部長のご案内により聖マリア病院内を見学されました。

この懇談では、ISAPHはNPO法人としての独自性を保ちつつ、聖マリア病院やJICAなどとも提携・協力してラオスでの保健医療NGO活動の相乗効果を目指すこと、なかでもラオス医療従事者への研修については、東北タイの地域類似性を活かした第3国研修も検討してはどうかなど、活発な意見交換が行われました。

今後の課題

もうひとつの導入活動である現地踏査の機会を利用した健康教育活動の実施および緊急援助活動であるタイ南部津波災害への支援や状況視察については、芝田さんの報告で詳細が述べられるので割愛させていただきます。

ラオスにおけるNGO 活動許可の認証手続きは予定外に早く進捗しています。これは、小早川理事長の手腕と聖マリア病院国際協力部・企画部をはじめとする皆様方のご指導・ご協力の賜物であり、心から感謝しております。

今後は、ラオスでの具体的な活動計画案の作成や必要機材の調達、また、駐在予定者の現地生活などに係る環境整備など活動の本格実施に向けた準備を一層進めていきたいと考えております。